ここでご紹介する方法はまだ売買経験の浅い方や、これから骨董・古美術を趣味にしようという方向けの心得…マインドセットです。「劇的に上達する裏技」といった類の話ではありません。しかし、核心的な内容であり、中級者や専門家にとっても忘れてはいけない大切な心得ですので是非覚えてみてください。
美術館などで『本物を直接見る』機会を増やす
不思議なことに、意外と古美術・骨董関係ではこの方法を忘れてしまう方が多いようです。ネット上の写真や図鑑を見る方法も便利ですし、大量の情報に触れることができるため賢い方法と言えます。ですが、そこにはメリットとデメリットが生じます。
例として、写真で勉強できるものには
・図柄
・形
・作風
などを短時間で大量に眺めることが可能で、これを繰り返していくとあなたの中で骨董品の知識と引き出しが増えていきます。
もちろんこれは大切な情報で、広く骨董品についての知識を得ることができるでしょう。
では本物を直接見る必要はどこにあるのでしょう?
それは
・質感
・色合い
・匂い
といった、写真からでは読み取れない情報得るためです。写真ではどうしても
ツルツルしてるのかガサガサしてるのか
テカリ具合や光の加減で変わる表情
といった情報を得ることが難しくなります。書籍が画像の中だけの世界ではなく、直接見ることで情報を深く、確かなものにする努力も必要です。
偽物と本物の違いを意識する
本物に関する知識が身についてきたと自信を持てたら、次は『本物か偽物かわからないもの』を見る機会を増やしましょう。そしてただ眺めるだけでなく、『あなたの知っている本物』とどこが違うかを掘り下げて観察してみましょう。
古美術品や骨董品は全て一点ものであり、似たものでも微妙な違いは生じます。ですが、あまりにも作風が違う。質感が違う。色合いがまったく違う。といった点に気がつくかもしれません。
それが正解か不正解かの答え合わせは品物の持ち主さんに気を使い、敬意を払いつつ訪ねてみるようにしてください。あまり無礼に「私の知っている本物とは違いますね」といった物言いをするとトラブルに発展します(笑)勉強の機会をもらえた事に敬意を払いつつ、またこれからも勉強させてもらえるように心がけましょう。
予算の範囲で実際に売買を経験してみる
これは骨董品の取引に限ったことではありませんが、やはり上辺だけの知識では身につくものではありません。まずは安いものからでも結構です。高額で売れなくても構いません。あなたが『素敵だな』と思えるものを購入してみましょう。ご自宅でじっくり眺めて、そこで初めて気づく『見落とし』などもあるかもしれません。手放しても問題ないものであれば、専門家の無料査定を利用して答え合わせをするのも良いでしょう。
今では古美術業界の第一線で活躍しているような目利きの達人達であっても、これまで一度として失敗した事がないなんて人は居ません。誰でも最初は素人です。大きな買い物で大きな失敗をしてしまう前に、安全な範囲で上手に失敗してみる事は重要なプロセスなのです。